「歩くだけでBitcoinが貯まる」アプリの本質
TikTokやポイ活の紹介動画で良く流れてくる「借金減額ナントカ」と並んでパワープレイされているのが、いわゆる「歩くだけでBitcoinが貯まる」アプリです。「歩くだけで貰えるから得」とか「BTCが将来値上がりしたら凄く得」などを謳い文句にしていて、隣の駅まで歩いていこうとか、なんか最近良いアプリない?といったような会話の動画を一日に数回は目にするのではないでしょうか。
仮想通貨界隈、つまりBlockchainを普段使いする層にとっては、この種のアプリは非常に謎です…。謎と言うより胡散臭さしか感じないという方が近いかもしれません。
歩いた報酬にBTCを使う理由
これらのアプリは、なぜ簡単にどこでも使える円(JPY)やドル(USD)などの法定通貨ではなく仮想通貨を報酬に利用するのでしょうか。もちろん法定通貨や各種ポイントを報酬に利用する同ジャンルのアプリとの差別化という意味合いがあるのは分かりますし、仮想通貨を使わない層にとってもネームバリューのある「ビットコイン」というブランドパワーを使いたいのでしょうが、なぜガス代やブリッジ手数料が他の仮想通貨に較べて割高(元々は安かったのですがBTCの価格上昇に伴いBTC建てのガス代・手数料は当然高くなっていきます)なBTCを選んだのかというのが問題の焦点です。
端的に言えば、一般的なuserにとってBitcoinを報酬としてBlockchain上のWalletアドレスで受け取るのは非常に難易度が高いので、報酬の出金を請求されにくいということが大きいのでしょう。数千円(10-20ドル)分のBTCをWalletアドレスに出金する時に必要なガス代も大抵のアプリではuser負担になりますのでとても割高で出金する甲斐がありません。また、歩くだけと言っても実際には一定の距離を歩いたら、Bitcoinを獲得するために動画視聴をする必要があるものが多く、アプリ開発者/運営者の本当の目的はこちら、つまり広告動画視聴での収益化が主目的のアプリがほとんどと言えるでしょう。
問題点を改善するなら
もし本当にweb3的な理念から立ち上がったアプリで、Dev(開発・運営者)とuser双方がWin-Winを目指すアプリならば以下のような改善策が考えられます。報酬に利用する仮想通貨を、ガス代が安く各種取引所で取り扱いがあって、しかも入出金に手数料が安く済む仮想通貨を選ぶことです。たとえばXRPやTRX、最近だとTONあたりがその候補でしょう。
また、アプリ内での収益化ももっとオープンに説明する必要があって、キャッチコピーを「歩いた分だけ広告動画を視聴してその対価でBitcoinが貯まる」アプリとすれば、もやもやした違和感も消えます。Win-Winである為にアプリ運営に関わる固定費部分(たとえばサーバー維持費など)をアプリ内での動画視聴による広告費で賄う、と明示すればそれを是とするuserにとっては問題がなくなりますので。
もっとも、web3界隈のAirdropプラットフォームなら動画視聴も必要なく各種トークンのAirdropを行っていて、実際にRewardを出金する時もガス代・手数料を運営者側の負担で送ってくれるものが多いので、企業努力と言うか「歩くだけでBitcoinが貯まる」アプリの姿勢の問題だとは思いますが。
ちなみに、「歩くだけでBitcoinが貯まる」アプリというのはBlockchain上には存在しません。ほとんどが単なるweb2的な、web3と比較するとコスト面で非効率な従来型のアプリです。
一方でBlockchain上では、たとえば歩くこと(位置情報)やアイドル時のWiFi(通信帯域)や遊んでいない時のゲーミングPC(GPUの演算処理能力/SSDなどの記憶域)を提供することでその見返りとなる報酬を得られるサービスが無料で使えます。
これらはDePINと言われるジャンルのBlockchain / dAppsです。
DePINとは
DePINプロジェクトあれこれ
ストレージ・クラウドコンピューティング系
- Filecoin (FIL): 分散型ストレージネットワークで、ユーザーがストレージスペースを提供することでFILトークンを獲得できます。
- Render (RNDR): 分散型GPUレンダリングネットワークで、余剰のGPU計算能力を提供することでRNDRトークンを獲得できます。AI関連の需要増で注目されています。
- Akash Network (AKT): 分散型クラウドコンピューティングプラットフォームで、ユーザーが自身のコンピューティングリソースを提供し、AKTトークンを得ることができます。
- Arweave (AR): 永続的なデータストレージを提供することを目指すプロジェクトです。
ワイヤレス・IoT接続系
- Helium (HNT): 分散型ワイヤレスネットワークで、ユーザーがホットスポットを設置して無線ネットワークを構築し、HNTトークンを獲得できます。
- IOTA (MIOTA): IoTデバイス間のデータ交換とトランザクションに特化した分散型台帳技術(Tangle)を使用しています。
AI関連
- Bittensor (TAO): 分散型機械学習ネットワークで、AIモデルの開発や推論に貢献することでTAOトークンを獲得できます。
- Theta Network (THETA): 分散型コンテンツ配信ネットワーク(CDN)であり、将来的にはAIや3Dレンダリングにも活用される予定です。
地図・位置情報系
- Hivemapper (HONEY): ユーザーが専用の車載カメラで道路状況などの地図データを収集・共有することで、HONEYトークンを獲得できる分散型マッピングプロジェクトです。
車両データ管理系
- DIMO (DIMO): 車両のデータを管理し、ドライバーが自身の車両データから収益を得ることを可能にする分散型プラットフォームです。
その他
- The Graph (GRT): 分散型アプリケーション(dApps)がブロックチェーンデータを効率的にインデックス化し、クエリできるようにするプロトコルです。
これらのプロジェクトは、単に広告を視聴させるだけでなく、ユーザーが実際に価値あるリソースを提供し、その対価として報酬を得られるという点で、Web3の真髄を体現しています。
まとめ:賢い選択のために
「歩くだけでBitcoinが貯まる」アプリは、そのキャッチーな謳い文句とは裏腹に、その多くが広告収益を主目的としたWeb2的なビジネスモデルを採用している可能性が高いです。高額な出金手数料や出金難易度の高さから、ユーザーが実際にビットコインを手にすることは難しいかもしれません。
もしあなたが「歩く」ことや「貢献」することで仮想通貨を得たいと考えているのであれば、DePINのような真のWeb3プロジェクトに目を向けることをおすすめします。
これらは、ユーザーが提供する価値あるリソースに対して公平な報酬を支払い、ブロックチェーン技術の恩恵を最大限に活用しています。
仮想通貨投資やポイ活を行う際は、アプリの裏側のビジネスモデルをよく理解し、「本当に自分にとってメリットがあるのか?」「透明性があるか?」を慎重に判断することが重要です。
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