ビットコイン投資の進化:BTC ETFの「功罪」とWeb3時代の個人投資家が選ぶ道(2025年6月時点)

_ab5fb028-1482-4e54-a068-3f3c25cf7426ちょうど1年前、当ブログではビットコイン(BTC)への投資方法、特に上場投資商品(ETP)としてのビットコインETFの是非について考察しました。 >>【BTC ETPという個人投資最良の選択肢が遂に登場】
当時は、「真のビットコイン」の保有権を手放すことへの疑問や、DEX取引時に比べると高額な手数料への批判が提起され、個人が直接BTCを管理し、ステーキングで収益を得るCoreDAOのような選択肢がWeb3の思想に合致すると注目されました。

あれから1年、暗号資産業界は目まぐるしく変化し、ビットコインを取り巻く状況も大きく変わりました。2025年6月現在、ビットコイン投資の世界はどうなっているのでしょうか?前回の記事を踏まえ、Web3の視点から「真の価値」を問い直し、その進化を探ります。


ビットコインETFの現状:ウォール街が牽引する「中央集権化」の波

2024年初頭に米国でビットコイン現物ETFが承認されて以来、その市場への影響は計り知れないものがありました。確かに、これらのETFは世界の金融市場にビットコインを「正当な資産クラス」として広く認知させ、機関投資家からの莫大な資金流入を促しました。ブラックロックのIBITに代表される現物ETFは、大手ファンドや年金基金が手軽かつ安全にビットコインにアクセスできる「新しい扉」を開いた、と見る向きもあるでしょう。

しかし、Web3の根本的な思想である「非中央集権性」と「自己主権」から見れば、このETFの隆盛は皮肉に他なりません。ビットコインは、銀行や政府といった中央集権的な仲介者を不要とするためにサトシ・ナカモトが生み出した、まさにWeb3の象徴とも言える存在です。それにもかかわらず、ETFは再び「カストディ」という中央集権的な仕組みの上にビットコインを載せ、投資家から直接管理権を奪い、高額な手数料を徴収しています。

JPMorganがビットコインETFをローン担保として承認し、一部の州政府や大手企業が戦略的資産として取得している現状は、ビットコインが「伝統金融の商品」として取り込まれた証拠かもしれません。これはビットコインの価格上昇には貢献しましたが、同時にWeb3が目指す「金融の民主化」や「個人の自由」とは真逆の方向を指していると言わざるを得ません。ウォール街がビットコインを「管理」することで、再び「権力」と「利益」が集中する構造を生み出しているのです。


Web3的選択肢:CoreDAOの立ち位置と「自己主権」を求める個人投資家の動向

一方で、前回の記事で言及した「ビットコインを直接保有し、ステーキングで収益を得る」というWeb3的な選択肢はどうなったのでしょうか?この分野の先駆者であるCoreDAOは、ビットコインの分散型エコシステムを拡大し、BTCをネイティブな資産として活用するDeFi(分散型金融)の可能性を追求しています。

具体的なCoreDAOのステーキング量やアクティブユーザー数の最新データは一般には公表されていませんが、ビットコイン上に構築されるDeFiアプリケーションは全体として大きな成長を見せています。これは、「自分の資産は自分で管理する」というWeb3の精神を重んじる人々にとって、ETFとは異なる魅力的な選択肢であり続けていることの表れです。中央集権的なカストディを介さず、スマートコントラクトによって透明かつ自律的に運用されるDeFiは、ビットコイン本来の力を最大限に引き出す道と言えるでしょう。

個人投資家の動向を見ると、確かに2025年初頭には一部で規制の不透明感やハッキング事件の影響で一時的な弱気相場が見られ、個人投資家のBTC売却が進んだ時期もありました。しかし、これは「スマートマネー(機関投資家)」が買い集める機会となり、その後は再び強気トレンドが優勢となっています。ビットコインは依然として、イーサリアム(ETH)と並び、個人投資家にとって最も推奨される暗号資産の一つです。直接保有することで、ETFでは得られない「自己主権」とWeb3エコシステムへの参加機会を享受できる点は、今も変わらない大きな魅力です。


2025年6月時点での投資戦略:中央集権に「預ける」か、自律的に「築く」か?

それでは、2025年6月現在、個人投資家はビットコインETFと直接保有(Web3的活用含む)のどちらを選ぶべきなのでしょうか?

これは、あなたがビットコインに何を求めるかによって結論が異なります。

  • 「手軽な価格エクスポージャー」を重視するならETF:
    SECの厳しい規制下にあり、既存の証券口座を通じて手軽にビットコインの価格変動に賭けることができます。保管の手間やセキュリティ管理のリスクを負いたくない、あるいは伝統金融の枠組みの中で投資したいと考える方には「便利な」選択肢です。しかし、これはWeb3的な意味での「ビットコインの所有」ではありません。あなたは「ビットコイン価格に連動する金融商品」を所有しているに過ぎないのです。
  • 「真のビットコイン所有」とWeb3の未来を築くなら直接保有:
    ビットコインを自分で管理し、ハードウェアウォレットなどで安全に保管すれば、完全に自分の管理下に置けます。CoreDAOのようなプラットフォームを通じてステーキングや他のDeFi活動に参加することで、保有するビットコインをより積極的に活用し、追加の収益機会を得ることも可能です。これは単なる投資を超え、Web3が目指す「個人の自由と自律」を実践する行為です。ただし、ウォレットの管理やセキュリティ対策はすべて自己責任となります。

どちらの選択肢もビットコインへのエクスポージャーを得る上で有効ですが、その意味合いは大きく異なります。現在の市場は、ETFによる機関投資家の参入で「伝統金融のロジック」に則った成熟期を迎えつつあり、同時にビットコインDeFiの進化によって「Web3の理想」を追求する個人投資家への選択肢も広がっている、と言えるでしょう。


結論

1年前、ビットコインETFを巡る議論は、ビットコイン投資のあり方そのものに問いを投げかけました。そして2025年6月現在、ビットコインは機関投資家の参入によって伝統金融市場のメインストリームに歩みを進めつつも、Web3の思想に根ざした「自己主権」と「非中央集権」の価値は、依然としてその本質であり続けています。

ETFはビットコインへのアクセスを「便利」にしましたが、それはビットコインが持つ革命的な分散性を「取引可能な商品」という中央集権的な枠に閉じ込めることと引き換えです。その一方で、CoreDAOのようなプロジェクトは、ビットコイン本来の分散性と「自己主権」の精神を守りつつ、Web3における新たな価値創造の機会を提供しています。

ビットコイン投資の未来は、決して「伝統金融に吸収されるか、Web3の理想を貫くか」という二者択一ではありません。むしろ、それぞれの選択肢が持つ「意味合い」を深く理解し、自身の価値観とリスク許容度に合わせて活用することが、これからのビットコイン投資における賢いアプローチとなるでしょう。

あなたはビットコインに何を求めますか?利便性を取りますか、それともWeb3の自由と自律を追求しますか?

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