2026年6月、HashPort Walletが静かに、しかし確実に変わった。

アプリ更新履歴に「BTCFiサービス対応、JPYCレンディングが行えるようになりました」という一行が追加された。累計100万ダウンロードを超える国内最大級のWeb3ウォレットが、「保有」から「運用」へのシフトを促す機能を実装したのだ。

2026年6月アップデート後のHashPort Walletホーム画面(BTCfi・JPYCレンディングへのメニュー導線)

BTCfi(Bitcoin Finance)という概念は、CoreDAOが切り拓いてきたビットコイン再生産性の文脈でこのブログが追い続けてきたテーマだ。それが日本のウォレットアプリで実際に使える形になった。ブロックチェーン・暗号資産を取り巻く環境は劇的に変わりつつある。
本記事では、その仕組み・使い方・リスクを中級者向けに徹底解説する。

📋 この記事でわかること

  • HashPort × BifrostのBTCFiレンディングの仕組み(アーキテクチャレベル)
  • 年率4.0%固定・ノーロックアップの意味と評価
  • 対応チェーン・手順・注意点
  • 夏キャンペーン情報と狙い目
  • スマートコントラクトリスクの考え方

BTCfiとは何か:デジタルゴールドが「働き始める」まで

HODLの時代が終わるわけではないが

BTCFiとHashPort Walletの公式コラボレーション。輝く黄金のビットコインを中央に配置したプレミアムなBTCFi(ビットコインDeFi)プロモーション画像

Bitcoinはその誕生から長らく「デジタルゴールド」として機能してきた。希少性・検閲耐性・非中央集権性という三要素が評価され、多くの保有者は「買って持ち続ける(HODL)」という戦略をとってきた。しかしゴールドと同様、保有しているだけでは価値を生まない。金は金庫に眠らせても利子はつかない。

ここに根本的な問いがある。「Bitcoinを担保・資本基盤として使い、その経済圏の中で利回りや新たな価値を生み出せないか」——これがBTCfiの出発点だ。

BTCfiを構成する4つの柱

このブログがCoreDAOの取り組みを通じて追い続けてきたBTCfiの本質は、以下の4軸で理解できる。

概要 代表的実装例
① BRC規格化 Bitcoin Layer1上でトークン・資産を発行・管理する規格(BRC-20、Runesなど)。BTCのブロックスペースに資産情報を刻む BRC-20トークン、Ordinals Inscriptions
② ラップドBTC(wBTC・cbBTC) BTCを他チェーン上でERC-20等として表現し、既存DeFiエコシステムで利用可能にする橋渡し技術 WBTC(Ethereum)、cbBTC(Base/Ethereum)
③ 非カストディアル・ステーキング BTCの秘密鍵を手放さずに(自己保管を維持しながら)他チェーンのバリデータを支援し、報酬を得る仕組み CoreDAO Satoshi Plus、Babylon Protocol
④ BTC担保型DeFi BTCまたはラップドBTCを担保にステーブルコインを発行したり、流動性プールに提供して利回りを得る Bifrost BtcUSD、CoreDAO lstBTC、Hermes

なぜ今、この動きが加速しているのか

2024年のビットコインETF承認、2024年半減期、そしてCoreDAOのHermesハードフォークなどを経て、BTCfiのインフラ整備は急速に進んでいる。機関投資家がBTCをバランスシートに乗せる一方、DeFi側ではBTCを「眠らせない」ための仕組みが競争的に構築されている。

このブログがCoreDAOテストネット期(2022年5月〜)から追い続けてきた「ビットコインに再生産性をもたせる」という命題は、2026年現在、日本の一般向けウォレットアプリ(HashPort)の更新履歴という形で結実しつつある。

💡 筆者注:CoreDAOが実装した非カストディアルBTCステーキング(Satoshi Plus)は、上記③の実証された先行事例だ。BTCを手放さずにブロックチェーンのセキュリティに貢献し、CORE報酬を得るという設計は、「BTCの再生産性」を最もシンプルに体現している。HashPort × BifrostのJPYCレンディングは④の領域に属し、日本市場向けに規制親和性を高めた実装と言える。


HashPort WalletにBTCFiが来た意味

国内ウォレットが「運用」に踏み込んだ転換点

HashPort Walletは旧EXPO2025デジタルウォレットとして知られ、日本国内での暗号資産入門ウォレットとしてのポジションを確立してきた。JPYCやUSDCなどのステーブルコインサポートに強みを持ち、特にJPYC利用者シェアは84%に達するとされる。

これまでのウォレット機能は主に「保有・送受信・交換」に限定されていた。今回のBTCFiレンディング機能の追加は、ウォレット自体がDeFiの入口になるという質的転換を意味する。国内でJPYCを保有するユーザーが、海外のDeFiプロトコルに直接アクセスする手間なく利回り運用できる環境が整った。

BTCfiという文脈における位置づけ

BTCfiとは、Bitcoinおよびその資産エコシステムを担保・基盤としたDeFi/金融サービス群を指す。CoreDAOが提唱してきたビットコイン再生産性革命もその中核を成す考え方だ。

今回のHashPort × Bifrostの連携では、「BTCFi」という名称を冠しながらも、実際の運用対象はJPYC(日本円ステーブルコイン)だ。Bifrost側がBTC担保型インフラ(BtcUSDなど)を基盤に持つことで「BTCFi Partners」として機能しているが、エンドユーザーはJPYCを預けるだけでよい。日本市場向けに規制リスクを意識した設計と言える。

💡 中級者向け補足:BTCfi Partners(Bifrost)が「BTC担保型の流動性インフラ」を持つことで、レンディングのバックエンドにBitcoin経済圏の資本が入る構造になっている。表側はJPYC運用だが、深部ではBTCの再生産性が機能しているとも解釈できる。


Bifrost NetworkとBTCFi Partnersの構造

Bifrost Networkとは

Bifrost Networkはクロスチェーン技術を核とするマルチチェーンL1ブロックチェーンだ。複数チェーン間の資産ブリッジと流動性提供を得意とし、日本市場向けには規制準拠を意識した展開を進めている。

BTCFi Partnersプログラムとは

BTCFi PartnersはBifrost Networkが提供する、Bitcoin系資産をベースとしたDeFi/金融インフラ連携プログラムだ。パートナーアプリやウォレットがこのインフラに接続することで、エンドユーザーにBTCfi利回りサービスを提供できる。HashPort Walletはこのプログラムに参加することで、アプリ内完結型のJPYCレンディングを実現した。

レイヤー 担当 役割
フロントエンド(UX) HashPort Wallet ユーザーインターフェース・JPYC入出金
ミドルウェア(API連携) BTCFi Partners HashPortとBifrostインフラの橋渡し
バックエンド(スマコン) Bifrost Network 利回り計算・資産管理・ブリッジ処理

この3層構造において、ユーザーが直接触れるのはHashPort Walletのみだ。しかし実際のリスクはBifrost側のスマートコントラクトに存在する。この点はリスクセクションで後述する。

BtcUSD担保インフラの概要

BifrostはBTC担保型ステーブルアセット「BtcUSD」を発行・管理する仕組みを持つ。これがBTCFi Partnersの「BTC」を冠する根拠だ。JPYCをPolygon上でBifrostインフラに預けた場合、バックエンドではBtcUSDを担保とした流動性プールが利回りの原資の一つになっている可能性がある(公式による詳細な資金フロー開示は限定的)。


HashPort × Bifrost BTCFiレンディング:サービス詳細

利回りとロックアップ条件

項目 内容
標準利回り 年率 4.0%固定
ロックアップ なし(No Lock-Up)
満期 なし(No Maturity Date)
引き出し いつでも元本+発生利回り
最低預入金額 アプリ内で確認(少額対応)
対応資産 JPYC(主にPolygon)

国内でこれまで提供されてきたステーキングや貸付サービスの多くは、30日・90日・180日などの固定ロック期間が設定されており、急な相場変動時に資金を引き出せないリスクがあった。ノーロックアップは、その最大の不便を解消している点で評価できる。

対応チェーンと入金時の注意点

JPYCはEthereumPolygonAvalanche・xDaiなど複数チェーンで流通しているが、HashPort BTCFiレンディングでの入金はPolygon上のJPYCが主対応とされている。

⚠️ 注意:Avalanche版JPYCは現時点で非対応との報告がある。チェーンを間違えた場合の資金ロストリスクがあるため、入金前にアプリ内の対応チェーン表示を必ず確認すること。

利用方法:アプリ内完結の流れ

  1. HashPort Walletアプリを最新版にアップデート
  2. アプリ内「BTCFi」または「レンディング」セクションに移動
  3. Bifrost BTCFiサービスへの接続を確認
  4. 預け入れるJPYC量を入力(Polygonネットワーク確認)
  5. トランザクション承認 → 利回り発生開始

ウォレット外のDEXやブリッジを操作する必要がなく、アプリ内で完結する点が最大のUX優位性だ。HashPort Walletの基本的な使い方や初期設定はHashPort Wallet完全ガイドを参照してほしい。

初心者でも安心!デジタル資産・ポイント・NFTをひとつに【HashPort Wallet】

BTCFi JPYC Lending Summer Campaign:狙い目の時期

Bifrostは2026年夏に「BTCFi JPYC Lending Summer Campaign」を予定している。標準利回り4.0%にボーナス利回りを上乗せする内容で、初心者向けの3ヶ月運用などを想定した設計が見込まれる。

📅 キャンペーン詳細の確認先:Bifrost公式X(@Bifrost_Network)およびHashPort公式チャネル。詳細発表前に入金しておくことで、キャンペーン開始と同時にボーナス利回りの恩恵を受けられる可能性がある。

本記事を夏キャンペーン前に公開している理由もここにある。情報収集→入金→キャンペーン開始というフローで動くユーザーに、最大限のタイミングで情報を届けるためだ。


リスクと注意点:中級者が押さえておくべきこと

スマートコントラクトリスク

利回り運用の実体はBifrost NetworkのスマートコントラクトがJPYCを管理している。バグや脆弱性、ハッキングによる資金流出リスクは、あらゆるDeFiプロトコルに共通するリスクだ。Bifrostの監査状況や過去のセキュリティインシデントは自分で確認する習慣をつけておきたい。

カウンターパーティリスク

サービス提供主体はHashPortではなくBifrostだ。Bifrost側の事業継続・流動性・ガバナンス変更などによって利回り条件が変更されるリスクがある。HashPortはあくまでUIの入口に過ぎない。

JPYC価格リスク

JPYCは日本円連動のステーブルコインだが、Bitcoinや暗号資産市場の文脈では法定通貨連動資産もゼロリスクではない。デペッグリスクは極めて低いが、原理的には存在する。

チェーン選択ミスのリスク

繰り返しになるが、Avalanche版JPYCなど非対応チェーンへの入金は資金ロストに直結する可能性がある。これはユーザーの操作ミスによるもので、プロトコル側でリカバリーできないケースが多い。

🔒 推奨アプローチ:初回は少額(例:1,000〜5,000 JPYC程度)でテスト運用を行い、入出金の動作を確認してから本格運用に移行することを強く推奨する。

投資判断に関する注意

本記事は情報提供を目的としており、特定の投資・運用を推奨するものではありません。DeFiサービスの利用は自己責任で行ってください。日本の金融商品取引法上、暗号資産の運用サービスの位置づけについては今後も法整備が進む可能性があります。最新の規制動向はご自身でご確認ください。


HashPortのBTCfi戦略全体像:2026年の動き

BTCFiレンディングの追加は単発の機能追加ではなく、HashPortが2026年に進めるBTCfi戦略の一部だ。

時期 機能 内容
2026年6月 BTCFiレンディング JPYC × Bifrost、年率4.0%固定
2026年6月16日〜 BTC現物対応 cbBTC・WBTC・ネイティブBTCの管理・入庫
過去実績 cbBTC貸付 KilnのDeFiインフラ経由のcbBTC運用

BTC現物対応の開始により、「BTC入庫→BTCfi運用」という一気通貫のフローがHashPort内で完結しつつある。これはCoreDAOによるBTCfi拡大の文脈とも整合的で、CoreDAOのBTCfi戦略と相互補完的な動きと見ることができる。


よくある質問(FAQ)

HashPort WalletのBTCFiレンディングとは何ですか?

HashPort Walletアプリ内でJPYC(日本円ステーブルコイン)をBifrost NetworkのBTCFi Partnersインフラに預けることで、固定利回りを得られるDeFiサービスです。2026年6月のアップデートで追加され、アプリから離脱せずに完結します。

利回りはどのくらいですか?ロックアップはありますか?

標準利回りは年率4.0%固定です。最大の特徴はノーロックアップ・無期限(No Lock-Up, No Maturity Date)で、いつでも元本と発生利回りを引き出せます。夏のキャンペーン期間はボーナス利回りが上乗せされる予定です。

どのチェーンのJPYCが対応していますか?

主にPolygon上のJPYCが対応しています。Avalanche版JPYCは現時点で非対応との報告があります。入金前にアプリ内で対応チェーンを必ず確認してください。

HashPort WalletとBifrostはどういう関係ですか?

HashPortはウォレットアプリの提供者で、Bifrost NetworkはBTCFi Partnersプログラムを通じてDeFi金融インフラを提供する事業者です。HashPortはユーザーインターフェースを担い、実際のレンディング運用はBifrost側のスマートコントラクトが管理します。

リスクはありますか?元本保証はありますか?

元本保証はありません。スマートコントラクトリスク、Bifrostのカウンターパーティリスク、JPYC価格変動リスクなどが存在します。DeFiサービスの性質上、最初は少額でのテスト運用を推奨します。

BTC現物対応とBTCFiレンディングは別の機能ですか?

はい、別機能です。BTC現物対応(2026年6月16日開始)はcbBTC・WBTCなどラップドBTCの管理・入庫機能です。BTCFiレンディングはJPYCを使った利回り運用です。両者はHashPortのBTCfi強化戦略の一環として同時期に展開されています。


まとめ:日本のBTCfi元年が始まった

HashPort Wallet × Bifrost BTCFiレンディングは、以下の点で国内BTCfiの文脈において重要なマイルストーンだ。

  • アプリ内完結:DeFiの技術的ハードルを大幅に下げた
  • JPYC対応:日本ユーザーに馴染みやすい円連動資産で利回りを得られる
  • ノーロックアップ:資金の流動性を確保したまま運用できる
  • 夏キャンペーン:ボーナス利回りの機会が近い

一方でBifrost側のスマートコントラクトリスクやチェーン選択ミスのリスクは実在する。少額テスト→動作確認→本格運用という手順を踏んで慎重に活用してほしい。

BTCfiという潮流はCoreDAOの先進事例から始まり、今まさに日本の日常的なウォレットアプリにまで波及してきた。この流れを深く理解したい方は、以下の関連記事も合わせて読んでほしい。

📚 関連記事

💡 異なるリスクアーキテクチャを持つ選択肢:

本記事ではHashPort Walletを通じたエコシステムを解説しましたが、カストディ(管理主体)を中央に委託し、時間経過とともに貸借料率が向上するLGY設計を採用した2026年最新のCeFiモデルも登場しています。
分散型(DeFi)プロトコルとの構造的な相違点や、ポートフォリオにおけるアロケーション戦略については、こちらの「Lendeeの年率12%を検証。CeFiとDeFiのリスク構造から探る使い分けの現実解」で詳しくレビューしています。複利運用のマルチ戦略としてDYORの上、あわせてご参照ください。


【HashPort Wallet】概要記事と関連記事へのリンクリスト

当ブログ「Blockchain FAQ」では、HashPort Walletを日本市場におけるWeb3デビューの最強ツールとして位置づけ、ハブ-スポークモデルでコンテンツを体系化。Ponta・au PAY連携による利便性と、JPYCエコシステムを軸としたアーリーアダプター視点のガイド群をまとめています。


HashPort Wallet 総合ガイド(ハブ記事)


ユースケース・課題解決ガイド


Web3エコシステム周辺知識


公式・参考リンク

HashPort Wallet 公式サイト
https://hashport.io/wallet/ ── ウォレットのダウンロード・公式情報
HashPort Wallet App Store
App Store(iOS) ── バージョン履歴でBTCFi対応の更新記録を確認可能
HashPort Wallet Google Play
Google Play(Android) ── 同上
Bifrost Network 公式サイト
https://thebifrost.io/ ── BTCFi Partnersプログラムの提供元
Bifrost Network 公式X(旧Twitter)
@Bifrost_Network ── 夏キャンペーンの詳細発表はこちらで確認
JPYC 公式サイト
https://jpyc.co.jp/ ── 日本円連動ステーブルコインの発行元。対応チェーン・最新情報を確認
HashPort 公式X
@HashPort_io ── 機能追加・キャンペーン情報の一次ソース

※ 各リンクの情報は2026年6月時点のものです。最新の利回り・対応チェーン・キャンペーン詳細は各公式チャネルでご確認ください。


※本記事は情報提供を目的としており、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。