閉鎖を発表したイーサリアム L2『Blast』のイラスト。崩れたブリッジと Ethereum メインネットへの資産引き出し期限(2026 年 10 月 26 日)を示すグラフィック

結論

  • 2026 年 10 月 2 日、イーサリアム L2「Blast」が運営終了を発表。ピーク時 23 億ドルの預かり資産を集めたプロジェクトが、わずか 2 年半で閉鎖。
  • 閉鎖の直接原因は「運営コストが収益を上回り、経済的に持続可能でない」こと。
  • ユーザーは 2026 年 10 月 26 日までに、通常インターフェースを通じて資産を Ethereum メインネットへ引き出す必要がある。

Blast の閉鎖とは?

2026 年 10 月 2 日、イーサリアム L2「Blast」が運営終了を発表しました。ピーク時 23 億ドルの預かり資産を集めたプロジェクトが、運営コストが収益を上回る状態により、わずか 2 年半で閉鎖に至りました。

ユーザーは 2026 年 10 月 26 日までに、通常インターフェースを通じて資産を Ethereum メインネットへ引き出す必要があります。

Blast の軌跡:ローンチから閉鎖まで

Blast TVL 推移(2023 年 11 月〜2026 年 10 月) Blast の預かり資産総額(TVL)が、ローンチ前に急増しピーク時 23 億ドルに到達した後、エアドロップ以降に減少し、2025 年頃を経て閉鎖発表時には 3200 万ドルまで落ち込んだことを示す折れ線グラフ。 23 億ドル 17 億ドル 12 億ドル 6 億ドル 0 2023/11 2024/02 2024/06 2025/06 2026/10 ピーク 23 億ドル 3200 万ドル

2023 年 11 月:発表と早期アクセス開始

Blur 創設者の Pacman 氏(Tieshun Roquerre)が「ネイティブイールド L2」として Blast を発表。Paradigm と Standard Crypto から約 2000 万ドルの資金調達を実施。

2023 年末〜2024 年 2 月:TVL 急拡大

メインネットローンチ前に 20 億ドル超、ピーク時で約 23 億ドルの資産が流入。約 18〜20 万人の早期ユーザーが参加。

2024 年 2 月 29 日:メインネットローンチ

正式にメインネットが稼働。ETH や USDB に自動利回りがつく仕組みが本格始動。

2024 年 6 月 26 日:BLAST トークンエアドロップ

ポイントと Gold に基づく大規模なトークン配布。しかし配布量への不満からファーマーの大量退出が始まり、TVL 減少が明確に。

2024 年後半〜2026 年:活動低迷と収益悪化

取引量・手数料収入が急減。ピーク時月間数百万ドルだった手数料収入が、最終的に数千ドルレベルまで落ち込む。

2026 年 10 月 2 日:閉鎖発表

「運営コストが収益を上回り、経済的に持続可能でない」として段階的な閉鎖を決定。ユーザーに Ethereum メインネットへの資産引き出しを要請。

なぜ Blast は生き残れなかったのか?

Blast の閉鎖は、L2 業界が「淘汰期」に入ったことを示す象徴的な出来事です。一方で、Arbitrum や Optimism などの主要 L2 は、以下の点で持続可能なモデルを構築しています。

Blast と主要 L2 の収益モデル比較 Blast は手数料収入の大部分をユーザーに還元する一方、Arbitrum や Optimism などはシーケンサー利益やエコシステム収益など多角的な収益源を持つことを示す概念図。 Blast 手数料収入 ユーザー還元 (大部分) 運営コスト(不足) Arbitrum / Optimism 手数料収入 シーケンサー 利益 エコシステム 収益 運営コスト(賄える)
主要 L2 と Blast の収益モデル比較
項目 Blast Arbitrum / Optimism など
収益源 トランザクション手数料のみ(ネイティブイールドのため手数料の大部分はユーザー還元) トランザクション手数料+シーケンサー利益+エコシステム収益
コスト構造 データ可用性(DA)費用、インフラ、Lido 運用コスト データ可用性費用、インフラ(Blast と同様)
TVL 依存度 極めて高い(イールド目当ての投機資金が中心) 比較的低い(DeFi、NFT、ゲームなど多様な DApps が存在)
トークンユースケース 限定的(ガバナンス中心) 多様(ガバナンス、ステーキング、ネットワーク手数料割引など)
開発者エコシステム 小規模(主要 DApps の誘致に失敗) 大規模(Uniswap、Aave、GMX など主要プロトコルが多数展開)

生き残りの分岐点

  1. 収益モデルの脆弱性: ネイティブイールドという設計上、手数料収入の大部分がユーザーに還元されるため、運営コストを賄う収益が残らなかった。
  2. エコシステムの多様性不足: Blast の TVL は、イールドとエアドロップ目当ての投機資金が中心だった。
  3. 大手プラットフォームの参入: Coinbase の Base や Robinhood の独自ネットワークなど、大手消費者向けプラットフォームが独自 L2 を展開したことで、中小 L2 は開発者、ユーザー、手数料収入の獲得競争で一段と厳しい環境に置かれている。
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資産の引き出し方法(2026 年 10 月現在)

Blast 資産引き出しプロセス Blast 閉鎖に伴う資産引き出しの 4 ステップを示すフローチャート。公式確認→期限把握→Lido 解除待ち→引き出し実行の流れ。 ステップ 1: 公式確認 Blast 公式 X・ブログ ステップ 2: 期限把握 通常 UI: 10 月 26 日まで ステップ 3: 引き出しプロセス Lido 資産解除(約 1 週間) → 24 時間遅延へ ステップ 4: 引き出し実行 blast.io/bridge から Ethereum へ 重要 10 月 26 日まで に完了推奨 ガス代(ETH)必須 秘密鍵管理注意

ステップ 1: 公式アナウンスを確認

Blast 公式 X(旧 Twitter)アカウントおよび公式ブログで最新情報を確認してください。

ステップ 2: 引き出し期限を把握

  • 通常インターフェース: 2026 年 10 月 26 日まで
  • L1 ブリッジコントラクト直接操作: 10 月 26 日以降も可能(非推奨)

ステップ 3: 引き出しプロセス

  1. Lido 資産解除期間: 閉鎖プロセスの第一弾として、Blast が Lido に預けている資産の解除作業(約 1 週間)が行われ、その間は引き出しが一時的に停止。
  2. 24 時間遅延への短縮: Lido 資産解除完了後、引き出し遅延時間が 24 時間に短縮された状態で通常インターフェースが利用可能に。
  3. 10 月 26 日までの対応: 公式には期限までの対応が強く推奨されている。

ステップ 4: 引き出し実行

Blast 公式ブリッジインターフェース(https://blast.io/bridge など)から Ethereum メインネットへ資産を引き出してください。ガス代(ETH)を事前に用意しておく必要があります。

よくある質問(FAQ)

Blast はなぜ閉鎖するのですか?
運営コストが収益を上回り、経済的に持続可能な道筋が見えないためです。ネイティブイールドという設計上、手数料収入の大部分がユーザーに還元されるため、チェーンの運営コスト(データ可用性、インフラ等)をトランザクション手数料だけで賄えなくなったことが根本原因です。
資産は 10 月 26 日以降も引き出せますか?
はい、10 月 26 日以降も Ethereum L1 上のブリッジコントラクトを直接操作することで資産の引き出しは可能です。ただし、公式には期限までの対応が強く推奨されています。
Blast の TVL はピーク時どれくらいでしたか?
ピーク時の TVL は約 23 億ドル(22.7 億ドル)でした。閉鎖発表時点では約 3,200 万ドルまで減少しており、ピークから約 98% の減少となっています。
Pacman 氏(Blast 創設者)の今後の動向は?
現時点で、Pacman 氏が次に取り組むプロジェクトや分野に関する公式発表はありません。業界は、Pacman 氏が Blast の教訓をどう活かし、次に取り組むプロジェクトにどう反映させるかに注目しています。
Blast の閉鎖は L2 業界全体にどのような影響がありますか?
Blast の閉鎖は、L2 業界が「淘汰期」に入ったことを示す象徴的な出来事です。一方で、Arbitrum や Optimism などの主要 L2 は、多角的な収益源と多様なエコシステムにより持続可能性を確保しています。
Blast と他の L2(Arbitrum、Optimism など)の違いは何ですか?
Blast は「ネイティブイールド」を前面に打ち出し、手数料収入の大部分をユーザーに還元する設計でした。一方、Arbitrum や Optimism などは、トランザクション手数料だけでなく、シーケンサー利益やエコシステム全体からの収益を確保する多角的なモデルを採用しています。

まとめ

Blast の事例は、強力なインセンティブで短期間に資金を集めることは可能でも、持続可能な経済モデルを構築することの難しさを改めて示しています。ネイティブイールドという革新的な試みは評価されるべきですが、手数料収益の定着とコスト管理が不十分だった点が、終焉の直接的な原因となりました。

L2 競争が激化する中、Blast の軌跡は今後のプロジェクトにとって重要な教訓となるでしょう。資産を保有している方は、公式の案内に従って早めに引き出し手続きを進めてください。

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参考・出典リンク